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行事・祭事のコト訪問着・付下げ

2022.05.182025.06.25

訪問着とは?留袖や他の着物との違い・着用時のポイントを徹底解説

訪問着とは?留袖や他の着物との違い・着用時のポイントを徹底解説
e-きものレンタル 編集部
目次

    訪問着とは?留袖や他の着物との違い・着用時のポイントを徹底解説

    着物にはさまざまな装いやスタイルが存在しますが、中でも多くのシーンにマッチして人気が高いのが「訪問着」です。

    訪問着は格式の高い場からカジュアルシーンまでさまざまな機会に着用することができるうえ、上品なデザインが多いため、大人女性としてが存分に楽しめます。

    また色柄に流行がないので、大切に使えば10年、20年と長く使用できる点も大きな魅力でしょう。

    今回の記事では、訪問着の基本に触れた後、訪問着と留袖・付け下げなどの着物との違いや、訪問着用に選ぶと良い帯や帯締め、帯揚げなどについて解説します。これから訪問着にチャレンジしてみたいとお考えの方は、基礎的なポイントをわかりやすくまとめていますので、ぜひチェックしてみてください!

     

    訪問着とは?

    はてな

    「訪問着」は、さまざまなシーンで、若い方から年配まで幅広い年齢層に利用されています。

    格式の高いパーティーや結婚式、観劇やお茶会、お呼ばれの席、またお子様がいらっしゃる方であれば入学式や卒業式にも着ることができます。

    そのため、和風はもちろんですが、最近では洋風モダンから幾何学模様などの個性的なデザインまでバラエティに富んだタイプもあり、TPOに合わせて自由に選ぶことができます。黒留袖とは違って既婚と未婚に関係なく誰でも着ることができるのも、さまざまな立場や年齢の方から愛される理由といってよいでしょう。

     

    訪問着の歴史

    「訪問着」と聞くと、ずっと昔から昔から着用されてきたイメージがあるかもしれません。ところが誕生したのは大正時代初期。1910~1920年頃のことなので、その歴史は100年ほどと、意外と浅めです。

    もともと庶民が着用していた着物には、大きく分けると留袖などのフォーマル用か、小紋などの日常用の2パターンしかありませんでした。わかりやすく表現すると、洋服で言うところの「ドレスかカジュアルコーデしかなかった」というわけです。

    しかし大正時代に入った頃、普段着として洋装を選ぶ人が増えると、和装の世界でも「外行き着」の需要が高まりました。

    留袖ほどかしこまらないもので、お出かけ着になる着物が欲しいというニーズに合わせて、大手呉服店(現在の三越伊勢丹)が訪問着を打ち出したのです。その名の通り、「訪問する際に失礼にならない着物」として、その認知度は徐々に高まっていきました。

     

    訪問着の特徴

    訪問着

    訪問着の一番の特徴は「流れるような絵羽模様」です。描かれた絵羽の色や柄がとくにバラエティに富んでいるのが訪問着の魅力です。訪問着には古典的な柄があるかと思えば、カジュアルパーティーなどに着ていける個性的なデザインもあります。

    昨今では、少しラフに着られる紬の訪問着なども人気です。

    さまざまなシーンで着用できるからこそ、「場面によって訪問着に変化を持たせた方が良いの……?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、素材が正絹で古典的な柄行きのものを選べばどんなシーンで着用してもマナーの上では失礼に当たらないため、そういった訪問着一着を着回すのもおすすめです。

     

    紋なし・紋ありの訪問着の違いは?

    訪問着

    訪問着には「紋の入ったもの」と「紋が入らないもの」があり、その違いは「格の高さ」にあります。

    ご存知の方も多いかもしれませんが、「紋入り」は「紋無し」に比べると格式が高くなります。また、紋の種類には、「一つ」「三つ」「五つ」と数の違いもあり、一つよりも三つ、三つよりも五つの方が格は上です。

    (参考までに家紋の位置は、

    一つ紋・・・背中の中央
    三つ紋・・・背中の中央と両袖の後ろ
    五つ紋・・・背中の中央と両袖の後ろ、両胸

    です)

     紋入りの訪問着を着用する場面としては、正装が求められる結婚式や格式の高いセレモニー、フォーマルなパーティー、正式なお茶会、初釜などの晴れやかなシーンが挙げられます。

    ただ結婚式で訪問着を着用する場合は、少し注意が必要です。

    というのも、訪問着は誰が着ても良いというわけではないからです。

    新郎新婦の母親様や祖母であれば結婚式や披露宴には第一礼装である「黒留袖(最上格の五つ紋)」が基本となるため、たとえ紋入りでも訪問着は身につけないのがマナーです(留袖と訪問着の違いについては、後ほど詳しくご紹介します)。

    親戚、友人や仕事関連での参列であれば、紋入りの訪問着でも問題ありません。

    ただし新郎新婦の姉妹は、20代で未婚なら振袖、30代で未婚なら色留袖、既婚なら黒留袖または五つ紋の色留袖が基本です。既婚者でも色柄が明るい色留袖を着用する例もあります。五つ紋だと用途が少なく、使い勝手がよくないため、三つ紋や一つ紋を用いるケースも珍しくありません。

    訪問着が決してダメというわけではありませんが、姉妹が訪問着だと四親等以上のいとこや遠縁の方々がそれより格下のコーデがなく、着るものに困ってしまいます。そのため、姉妹は格上の振り袖とか色留袖にして、はっきりと分けておく方が無難でしょう。

    ただし振り袖の場合は、どうしても華やかになりがちなため、新婦より目立たないよう十分に注意が必要です。

    ちなみに家紋については、訪問着にご自身の紋をオーダーして入れてもらうのが一般的ですが、購入が大変という場合でも心配いりません。着物レンタルでは、家紋部分だけ自由に貼り替えられる貼り紋や、誰が使っても良いとされる通紋(つうもん)を利用するからです。

    紋が無い訪問着は、紋がある訪問着と比べると幅広い用途で着用できます。

    家族や親戚以外で結婚式に出席する場合や、各種パーティー、お子様の入学式、卒業式などは、紋無しで構いません。

    フォーマルではなく、カジュアルを含めた幅広いシーンで着用したいという場合は、紋無しの訪問着を選ぶと無難でしょう。

     

    色留袖と訪問着の違いは?

    ところで訪問着と先ほど触れた色留袖は、一見するとどちらも雰囲気が似通っているため、「どこがどう違うのかわからない」という方も中にはいらっしゃるかもしれません。

    しかしよく見ると、肩部分に大きな違いがあるのです。

    訪問着は左肩から袖に流れるように柄があしらわれているのに対して、一方の色留袖は肩部分に柄が無く、裾部分にのみ柄が施されています。

    見分け方としては、

    ・訪問着:上半身・下半身ともに模様がある
    ・色留袖:下半身にのみ模様がある

    というように覚えておくと良いでしょう。

    先ほども少し触れた通り、訪問着と色留袖とでは着物としての格が違います。

    訪問着は基本的に「準礼装」「略礼装」といった着物として幅広いシーンで着用可能です。一方、色留袖は、黒留袖や振り袖とともに「第一礼装」であるため、格式の高い式典や叙勲、皇室行事、親族の立場で列席する結婚式といった場面での着用が一般的です。

    ただ、訪問着の中にはとても品格があって色留袖に劣らないデザインもあるため、格の高いシーンでも堂々と着用していただけるケースがあります。迷う場合は、事前に主催者に伺っておくと安心でしょう。 

     

    訪問着と付け下げの違いは?

    色留袖と同様に「付け下げ」も訪問着とよく混同されやすく、見分けがつきにくいです。

    付け下げはそもそも訪問着の煌びやかなイメージを控えるように作られた着物です。「訪問する際に着用する」という意味で訪問着と用途は同じと考えてよいでしょう。

    戦時中の「贅沢品はご法度」という流れから豪華な印象の訪問着の着用が禁止されてしまったため、その代わりとして付け下げが作られたと言われています。

    ただ訪問着に比べると柄が少なく、あるいは小さく地味なのが特徴です。裾周りや肩、袖あたりにワンポイントで描かれているのが基本です。

    訪問着のように絵羽もなく(または控えめ)、反物(たんもの)の状態で販売されており、着用したときに柄がすべて上を向くように描かれています。

    ちなみに付け下げとほぼ同格の着物で「色無地(いろむじ)」と呼ばれるタイプもあります。

    付け下げや訪問着とは違ってまったく柄があしらわれていません。紋を付けると付け下げより格が上になる場合もありますが、紋がなければ、訪問時だけでなく普段使いもできますよ。

    付け下げよりもさらにトーンを抑えてシンプルなおしゃれを楽しみたいときにおすすめです。

    「訪問着の豪華な印象を抑えるために付け下げが作られた」ため、着物の格は付け下げに比べると訪問着の方が高いです。

    結婚式や大規模なパーティーなどの華やかな場に行く際はより豪華な訪問着、小さなパーティーや同窓会などに行く際は付け下げや色無地が向いているでしょう。また、年齢の加減で華やかな装いはどうしても控えたい場合や、気の知れた仲間が中心のカジュアルな結婚式や披露宴などであれば、色無地ないしは付け下げを選択しても構いません。

     

    訪問着にはどんな帯を合わせると良い?

    訪問着

    これまでご紹介してきたように、着物にはそれぞれに格があります。それと同様、合わせる帯にも格の違いがあり、帯の格は着物の格と揃えるのが一般的なルールです。

    訪問着の格は「準礼装」「略礼装」なので、「フォーマル用の帯」を用います。

    具体的には「袋帯(二重太鼓)=フォーマル」「名古屋帯(一重太鼓)=カジュアル」となるため、「綴れ帯(後述します)」など一部をのぞき、訪問着を着る際には「袋帯」が基本です。ただし、最近では訪問着より少し格が下がる付け下げとか色無地も訪問着と同じ役割で使用されるケースがよくあります。その際は、織りの入った名古屋帯や八寸帯を使うケースもあります。

    着物は基本的に、織りより染めの方が高級とされますが、帯は逆で染めたものに比べると織りの方が格は上になります。最上級品として大変重厚で品格のある西陣織が有名です。

    格式の高いシーンで着物姿が映えるように、袋帯には、吉祥文様、有職紋様、正倉院文様といった手の込んだ作りで、見た目にも豪華な柄が豊富に織り込まれています。

    ただし、先ほど触れた一重太鼓である「綴れ帯」に限っては、例外的に訪問着に合わせても良いとされています。

    「綴れ」とは数ある織り技法の一つで、「日に一寸(一日で3.8cmほどしか織り進められない)」と言われるほど職人の緻密な作業が必要になる技法であり、かなりの時間をかけて織り上げられます。

    歴史も袋帯より古く、織り地がしっかりと密で地厚な仕上がりとなるため、一重太鼓でありながら格式の高い着物にも合わせられるのです。

     

    訪問着を着る時のポイント

    訪問着を着る際には、いくつか押さえておきたい大切なポイントがあります。
    まずは、「紋の有無」。

    先述したように、訪問着には紋入りと紋無しがあります。

    格式の高い式典やパーティーでは、紋入りの訪問着がおすすめです。礼節を重んじた上品な装いは、ご自分をよく見せるだけでなく、場にふさわしいコーデを身につけることで他の参列者に不快な思いをさせないという大切な意味合いもあります。

    逆にカジュアルなパーティーなどでは紋無しの訪問着の方がふさわしいケースが多いです。現代では紋無しの訪問着の方がより幅広いシーンで着用できることも踏まえ、ご自身のライフスタイルに合わせて選択してみてください。

    また合わせる小物も気にかけておきたいポイントです。

    訪問着には、表(おもて)からみえる着物以外にも、以下のような多くの小物が必要になります。

    • 帯締め(おびじめ)
    • 帯揚げ(おびあげ)
    • 長襦袢(ながじゅばん)
    • 肌着
    • ハンドバッグ
    • 草履
    • 重ね衿(かさねえり)
    • 腰紐(こしひも)
    • 伊達締め(だてじめ)
    • 帯板(おびいた)
    • 帯枕(おびまくら)
    • 衿芯(えりしん)
    • 和装ベルト
    • 足袋

    着物の印象は合わせる小物によっても大きく変わりますし、その場にふさわしいデザインを選ぶことも大切です。

    例えば、華やかなお祝いのシーンである結婚式や披露宴には、帯揚げや帯締め、ハンドバッグに金や銀の糸が入った格の高いものを選ぶのが良いでしょう。

    草履もツヤのある台に、金や銀の糸が使われた鼻緒のものをチョイスするのがおすすめです。ハンドバッグと似たようなデザインにすると一層オシャレに見えます。現にオンラインショップなどではセット販売されていることが多いです。中にはハンドバッグと草履の鼻緒の柄が同じものもあって、目立ちませんがトータルバランスがよくなり、とてもオシャレなコーディネートが楽しめるでしょう。

    逆にカジュアルな場面では素材やデザインなどにあまりこだわらず、ご自身ならではのコーディネートを楽しむために、好きな色やモチーフを取り入れてみるのも良いでしょう。

    さらに着付けについても触れておきましょう。

    訪問着は、慣れれば自分で着付けることも可能です。

    しかし初心者の場合は、かなり難しいといってよいでしょう。先ほど述べたように、訪問着を着る際は、多くの小物が必要で、それらを使い、順を追って正しく着付けていかなければなりません。いくつもコツがあり、それらを把握していなければ、トータルバランスがおかしくなったり、着崩れを起こしたりして、せっかくの訪問着が台無しになりかねないでしょう。

    そのため、時間に余裕があれば着付け教室に通って着方をマスターするか、最初のうちはプロの着付け師にお願いするのがおすすめです。

    最後に気にしておきたいのは、やはり「他の着物との違い」です。

    色留袖と付け下げは特に訪問着と混同されがちですが、いちばん格が高いのが色留袖、次に訪問着、その次が付け下げです。紋の数や身につける帯によっても格が上下するため、迷う場合は事前に着物専門店や着物レンタルなどに問い合わせてみると良いでしょう。

     

    まとめ

    訪問着

    今回は「訪問着」の基本的な知識にはじまり、留袖・付け下げといった他の着物との違い、さらに訪問着を着る時のポイントなどをご紹介しましたが、ご理解いただけたでしょうか。訪問着は格式のあるフォーマルシーンでもカジュアルな場面でも着ることのできる、大変使い勝手の良いアイテムです。

    紋入りの訪問着であればフォーマルウェアが求められる格式の高いセレモニーや結婚式といったシーンに向いていますし、紋無しならカジュアルなパーティーやご友人のお宅を訪問する時などにもピッタリです。

    色留袖または付け下げなど、他の着物との違いには気をつけなければいけませんが、「着物デビューをしてみたい」という方は、訪問着から始めてみると良いかもしれません。

    ただ、着物を購入するとなると予算的にハードルが高く感じてしまう方もいらっしゃるでしょう。

    e-きものレンタル」では、結婚式や入学式、お食事会、お出かけ着にピッタリの訪問着を数多く取り揃えています。

    「訪問着を着てみたいけど頻繁に着るわけじゃないし・・・」といった方には、とくに弊社の訪問着がおすすめです。

    1万円台のリーズナブルなものから高級感のあるタイプまで、色や素材、柄のバリエーションが豊富なため、年齢や目的に合った訪問着が見つかるはずです。

    「こんな場面ではどのような訪問着がふさわしいのか」といった疑問をお持ちの方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

    シーンにふさわしい訪問着選びを経験豊富なスタッフが全面的にサポートさせていただきます。長襦袢や帯締め、帯揚げなどの小物もセットでお届けのうえ、足袋は無料でプレゼントいたします。

    「そろそろ着物に挑戦してみたい」「たまには手持ち以外の訪問着を着てみたい」といった方も、ぜひ「e-きものレンタル」をご利用ください。心よりお待ち申し上げております。

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    e-きものレンタル 編集部

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