

着物用の肌着とは?和装下着の種類やシーン別の選び方・代用品や男性用肌着も

着物用の肌着とは?和装下着の種類やシーン別の選び方・代用品や男性用肌着も
着物の下には、必ず肌着が必要です。
着物用の肌着は、単に肌を守るだけでなく、汗や皮脂が着物に付着して汚れるのを防ぐ大事な役割があります。さらに肌着には和装ならではの目的や効果があるため、よく理解しておくことが大切でしょう。
とはいえ着物に慣れていない方からすると、「着物用の肌着って?」とピンとこないかもしれませんね。
今回は、そんな着物用の肌着について特集します。
種類や役割、シーン別の選び方、代用できるアイテムについても詳しく解説するので、ぜひ着付けの際の参考にしてくださいね!
着物の肌着とは:種類と役割
着物の肌着には、以下のようなものがあります。
- 肌襦袢(はだじゅばん)
- 半襦袢(はんじゅばん)
- 長襦袢(ながじゅばん)
- 和装ブラジャー
ちなみに、「肌着」と「下着」の違いについて触れておきましょう。
肌着は、肌に触れる服を意味し、下着は服の下に着る服の総称といわれています。ただ、実際には肌着も下着も同じ意味で使われることが多いため、本記事でも同じとして扱いたいと思います。
肌着が西洋化するまでは、いわゆる「パンツ」は存在しませんでした。男性はふんどし、女性は湯文字(ゆもじ)や二布(ふたの)という木綿の腰巻が一般的でした。
ただ、さすがに今はそのようなわけにいきませんので、着物の際でも「パンツ」は普段通りに履きます。
その上で、「和装ブラジャー→肌襦袢(or半襦袢)→長襦袢(半襦袢の場合は肌襦袢も長襦袢も不要)→着物」という順番で着付けていきます。
着物における肌着の役割は、以下の通りです。
- 肌と着物が擦れるのを防ぐ
- 汗や皮脂で着物が汚れるのを防ぐ
- 着崩れ防止
- 透けるのを防ぐ
- 着物姿を美しく見せる
- 寒さ対策
着物は、一旦シミや汚れが付着すると洗い落とすのが手間です。とくに夏場は一度着用しただけでも、かなりの汗や皮脂が着物に付くため、肌着はマストアイテムですよ。
また、「絽(ろ)」や「紗(しゃ)」を使った梅雨や夏用の着物、白または色が薄めの着物は、下着やそのラインが見えてしまう可能性があります。着物用肌着を身につけると透けにくく、ラインも目立ちにくいので安心でしょう。
それではここから、各肌着について詳しく解説していきましょう。
肌襦袢
和装ブラジャーと下着のパンツの上に着るのが、肌襦袢です。キャミソールと同じような役割を果たします。
形はワンピースタイプで、直接肌に触れるため汗や皮脂が着物に付着するのを大きく防いでくれますよ。
長襦袢
肌襦袢の上、つまり着物のすぐ下に着用するのが、長襦袢という着物タイプの肌着です。
長襦袢は、衿部分に「半衿(はんえり)」を付けて、着物が重なっているように見せます。袖口や裾から一部が見えることもあるので、肌着とはいえ、完全に隠すものでもありません。
白が主流ですが、見えたらNGというわけでなく、むしろそれを計算に入れて色や柄が入った長襦袢もありますよ。
洋服の場合は、長襦袢のようなインナーはありませんが、着物コーデでは、汗や皮脂汚れが着物に付着するのを防ぐだけでなく、着崩れを防止したり、スタイルをよく見せたりする上でも欠かせない(浴衣の場合は不要)マストアイテムといえます。
長襦袢には、さまざまなサイズがありますが、着用する着物のサイズにあったものを選ぶのが基本です。大きめのタイプを選ぶと着物からはみ出てしまうので注意してくださいね。
半襦袢
半襦袢は、肌襦袢と長襦袢の役割を兼ねた簡易的なアイテムで、上半身のみです。下半身はステテコなどと合わせますが、これは「裾除け」とか「蹴出し(けだし)」とも呼ばれます。非常に薄くて軽く、夏の肌着として使用する方が多いです。上下セットで販売されているタイプもありますよ。
長襦袢代わりになるので、半衿をつけることもできますし、外から見ると長襦袢のようにも見えるため、「うそつき襦袢」という名で販売されているものもあります。
和装ブラジャー
和装ブラジャーは、普通のブラジャーと違ってワイヤーやカップがありません。締め付け感がないため長時間着用していても楽ですし、バストを平らに整えてくれるので、上半身のシルエットが美しくなりますよ。
洋装の場合はグラマラスなスタイルが良しとされることがありますが、和装の場合はそうではありません。どうしても周辺にシワがよりやすくなり、大事な柄が隠れたり歪んだりする恐れがあります。そのため、昔は(今でも)サラシを巻いて胸を抑えるのが常識でした。
着物用肌着の素材
着物用肌着の素材には、天然素材と化学繊維の2種類があります。
天然素材 | 化学繊維 |
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|
素材は必ずしも一種類ではなく、例えば半襦袢の場合は、身頃や袖は綿や麻で、衿や袖口だけ化繊で作られているものもあります。
商品によってさまざまな個性があるので、ご自分に合ったタイプを見つけることが大切でしょう。
着物用肌着シーン別の選び方
肌着ですから、ご自分が身につけて心地が良いものが一番です。
ただ、第一礼装や準礼装の留袖や振袖、訪問着などで正絹(100%シルク)の場合は、とくに長襦袢も同じく肌に優しく品質が良い正絹のものが好ましいでしょう。
ただし、正絹は縮みやすく、自宅での洗濯が難しい点がデメリットです。
その意味では、綿や麻、また化繊でも肌に優しいレーヨンの入ったタイプの方が楽かもしれません。長襦袢を正絹にするなら肌襦袢を綿や麻など吸水性の高いものにして、長襦袢に汗が染みにくくするのもよいでしょう。
普段着として着物を着用する場合は、自宅で洗濯でき、比較的安価な化繊タイプの肌着でも十分ですよ。人によっては化繊は苦手というケースもあるでしょうから、その場合は着心地の良い天然素材がおすすめです。
また、夏シーズンは、「絽(ろ)」や「紗(しゃ)」などでできた薄くて通気性が良いものがよいでしょう。
いずれのシーンにしても肌着は、うなじの下で抜いた衣紋から見えないように着るのが大事です。そのため、襟ぐりがしっかり空いたタイプをチョイスするようにしてくださいね。
着物用肌着の代用品は?
肌襦袢の代わりは、薄手のキャミソールやタンクトップでもOKですよ。
和装ブラジャーも、スポーツブラなどワイヤーやカップのないタイプなら代用可能です。
ただし、長襦袢や半襦袢については衿が必要なので、他の下着で代用することはできません。
また、とくに女性は冬場の防寒対策を忘れてはなりません。
基本的には、普段から愛用している保温下着で構いませんが、以下の3点に注意しましょう。
- ボリュームがありすぎると着膨れして着物がきつくなる(スタイルにも悪影響があります)
- 暑く感じても途中で脱げない
- 衣紋の中から肌着が見えてしまう
下半身はレギンスやスパッツを履くととても温かいですよ。下半身が冷えるとトイレも近くなるので、ぜひおすすめです。
ただし、股上が深いと着物がキツくなったり、着付けがしにくくなったりするので要注意。レギンスも足首まであるものは裾から見えてしまうので、膝下くらいの短めのタイプを選びましょう。
さらに5本指のストッキングもおすすめです(タイツは指がひとまとめになるため、足袋が履けなくなります)。
男性の着物用肌着は?
男性にも着物用肌着が存在します。
基本は、「一般的な下着用パンツ+首の空いたTシャツ(or肌着)→肌襦袢→長襦袢」といった感じになりますよ。女性と同じで、肌襦袢と長襦袢を着用せず、「半襦袢+ステテコ」というスタイルでも構いません。とくにカジュアル仕様の場合は、このパターンが多いですよ。
最近では見た目がおしゃれで涼しいTシャツ型半襦袢なども販売されています。夏に着用する薄物(うすもの)タイプの着物は透けてステテコが見えることがあるので、その場合は長襦袢を着るようにしましょう。
長襦袢も白とは限らず、黒や紺、それ以外のカラー、柄の入ったタイプもあるため、好みや用途に応じてチョイスしてください。ただし、結婚式の紋付袴などの礼装の場合は、絶対に白というルールがあるので注意しましょうね。
肌着は購入?レンタル?
肌着は、一度購入すれば何度も繰り返し使えるため、よほど頻繁に着物を着る方以外は、何枚も持っておく必要はないでしょう。長襦袢にしても和装ブラジャーにしても安いものなら数千円程度で買えるので、一式購入しておくと便利かもしれません。
ただ、購入せずにレンタルを利用するのも一つの方法ですよ。というのも着物レンタルでは、肌着だけでなく、腰紐や重ね衿、帯揚げ、帯締め、腰紐、さらにバッグや草履に至るまで、着付けに必要な小物の多くが着物とセットで借りられるからです。
返却の際は、クリーニングの必要もないため、年に数えるほどか、それ以上にたまにしか着物を着ない方は、レンタルの方がコスパがずっと良いかもしれませんよ。
購入の場合、肌着は外から見えないためあまり問題ありませんが、帯揚げや帯締め、バッグなどは着物の種類やデザインによっては似合わないこともあり、その場合は、新たに買い足す必要があるでしょう。
さらに、購入ならジャストサイズで本当に欲しいデザインの着物を手に入れられますが、クリーニングや収納・保管、虫干しなどのメンテナンスに手間とお金がかかります。こうしたこともトータルで考えて購入かレンタルか検討してみるとよいのではないでしょうか。
まとめ
肌着は外からはほとんど見えませんが、着物コーデでは絶対に欠かせない重要アイテムです。
とくに成人式や結婚式、その他パーティーやお茶会など、着物を長時間着る場合は、着崩れを防止するためにも適切な肌着を身につける必要があるでしょう。夏や冬は、季節にあった素材や形の肌着を身につけることも大事です。
着物を素敵に美しく着こなすためにも、ぜひベストな肌着をチョイスしてくださいね。
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