

着物クリーニングは専門店で!洗い方の種類や料金・タイミング・失敗しないお店の選び方を徹底解説

着物クリーニングは専門店で!洗い方の種類や料金・タイミング・失敗しないお店の選び方を徹底解説
着物を着用する場合に、必ずついて回るのがクリーニングですよね。目には見えなくても、着物や長襦袢などには、汗や皮脂、化粧品や食べ物によるさまざまな汚れが付着しています。これらを放置していると、黄ばんだり黒ずんだりしてせっかくの着物が台無しに!
そこで今回は、着物のクリーニングについて詳しく解説します。
着物クリーニングの具体的な内容や料金相場、タイミング、失敗しないお店選びなど、大事なポイントをご紹介します。ぜひ最後までご覧くださいね!
着物のクリーニングとは
一般的に、着物クリーニングには以下の3種類があります。
- 丸洗い
- シミ抜き
- 洗い張り
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
丸洗い
丸洗いとは、石油系の溶剤を使ったドライクリーニングのことです。「洗い」という言葉を聞くと、水を使ってじゃぶじゃぶ洗濯するとイメージする方も多いかもしれません。でも着物の場合は、そのような洗い方はしません。水を使うと着物自体が縮んだり、型崩れしたりするからです。
丸洗いが適しているのは、「油性の汚れ」です。具体的には、ファンデーションや口紅といったコスメ関係の汚れです。あとは、食事の際に付きやすいソースやスープ、揚げ物などの油シミですね。
ただし、丸洗いでは、汗や飲み物などの水性の汚れは落ちにくいことが多いです。
着物は何度も着用したり、長年愛用したりしていると、どうしても全体の色がくすんできてしまいます。でも丸洗いをすると、そのくすみが綺麗になり、色目もトーンアップしますよ。
シミ抜き
シミ抜きは、部分洗いと呼ばれることもあります。
着物全体というよりは、衿や袖、裾といったピンポイントの汚れを取る方法です。
ドライクリーニングでは落ちにくい水性の汚れを落とすのにうってつけですよ。皮脂や油性の部分的な汚れも落とせます。
シミや汚れの数にもよりますが、ドライクリーニングや、この後にご紹介する洗い張りに比べるとかなり安く済むことが多いですよ。
洗い張り
先ほど丸洗いの説明で水を使わないと言いましたが、洗い張りは、ガッツリと水を使います!
洗い張りとは、着物を一枚の反物(布)に戻してから水洗いするという、かなり大胆なクリーニング方法です。つまり、縫い目を全てほどくという大変手間のかかったやり方で、洋服ではまず考えられない離れ業といってよいでしょう。
もちろんこの後は再び仕立てをやり直すので、他の方法に比べて価格も高くなります。そのかわり、場合によってはほぼ新品同様というくらいに綺麗になります。
洗い張りの良いところは、単にクリーニングだけでなく、サイズ調整や裏生地の張り替えといったメンテナンスを加えられる点。まさに着物版リノベーションといってよいでしょう。
お祖母様やお母様から譲り受けた大事な着物をご自分の代でも着続けたい、ゆくゆくは娘さんにも譲りたいという方におすすめですよ!
丸洗いやシミ抜きは、何度も繰り返すクリーニング方法ですが、この洗い張りに関しては、着物一点につき1回ないしは多くて2回という、いわば一大イベントといえます。ですから、洗い張りをする場合は、軽いノリではなく、その着物をこれからどのように使いたいのかをよく考えて計画的に行うことが大事です。
クリーニングが必要な着物とは?
着物は、素材によっては自宅で洗濯できるものもあります。
必ずクリーニングに出すべき着物は、正絹(100%シルク)でできた振袖や留袖、訪問着、付け下げ、小紋などです。
その他の化学繊維(ポリエステルなど)や木綿、麻で作られた着物は、自宅で洗濯することも可能です。
ただ、浴衣であれば気軽に自宅でも洗えるかもしれませんが、訪問着や付け下げの場合は、専門のクリーニング店に依頼する方が無難な場合もあるでしょう。着物の表示を見て、自宅での洗濯が可能か、洗濯機を使って良いか、手洗いかといった点を必ず確認するようにしましょう。
購入する際にお店の方に洗濯方法を詳しく教えてもらうのもおすすめですよ。
着物クリーニングの頻度とタイミングは?
さて、着物はいつクリーニングするとよいのでしょうか?
洋服とは勝手が違うので、いつ洗うべきか迷ってしまう方も、きっと多いと思います。
そこで続いては、クリーニングの頻度やタイミングについて解説しましょう。
シーズン終了後
定期的に着用する着物の場合は、シーズンが終了する頃を見計らってクリーニングに出しましょう。目安は年に1〜2回です。
久しぶりに着用する前
数年ぶりに着用する着物については、事前に保管状態を確認する必要があります。保管方法にもよりますが、湿気や皮脂などで思わぬところに汚れが付着しているケースがあるからです。
広げてみて違和感があれば、クリーニングに出すのがおすすめですよ。
汗をかいた場合
とくに梅雨時期から夏の終わりくらいまでは汗で汚れることが多いです。最近は、春や秋でも夏日を観測するケースが増えているので、汗の量には十分に注意を払い、気づいたら早めにクリーニングしておくのがおすすめですよ。
カビやシミに気づいたら
後ほど詳しく説明しますが、着物は定期的に陰干しするなどのメンテナンスが必要です。それでも、期間を置き過ぎると思わぬカビやシミが付いていることがよくあります。もしそれらに気づいたら、早めにクリーニングするようにしてください。
着物クリーニングの料金は?
一般的な着物クリーニング(丸洗い)は、高くても一着13,000円前後が目安です。
とくに、正絹の振袖や留袖、訪問着などは、もっとも高いと考えてください。ただ安ければ7,000円前後で依頼できるケースもありますよ。
正絹以外の着物でしたら、5,000〜7,000円前後が一般的です。
ただし、洗い張りの場合は、もっと高額になる可能性があります。
お店にもよりますが、名の通った丁寧なお店の場合は、振袖や留袖なら5,000〜40,000円、訪問着や付け下げでも15,000〜32,000円前後はかかります。
さらに仕立てが別料金になっているお店もあります。その場合、50,000〜90,000円前後することもあるため、事前によく確認するようにしましょう。
逆に、部分洗いやシミ抜きであれば、5,000円以下で済むことも多いですよ。
他に長襦袢の場合は、正絹で5,000〜7,000円前後、水洗いできる場合は、2,000円前後が相場です。
なお、宅配クリーニングの場合は、店舗クリーニングに比べて数千円単位で安くなることが多いです。
また、全体に言えることですが、酷い汚れや長年放置したために落ちにくいシミなどは、さらに特別な処置が必要になるため、追加料金がかかる可能性があります。
着物以外の小物のクリーニングはどうする?
着物以外の小物の中にも、クリーニングが必要なアイテムがあります。
具体的には、以下の通りです。
帯 | ・着物と一緒に毎回出す必要がありませんが、正絹製や刺繍が施されているものは、汚れ具合を確認しながらシミ抜きなどのクリーニングが必要です |
帯締め・帯揚げ | ・使用後に湿気を飛ばせば良いのですが、繰り返し使用した場合はどうしても汚れてくるので、折を見てクリーニングに出すのもおすすめです |
半衿 | ・自宅で手洗いもできますが、正絹の場合は汚れ具合を見てクリーニングに出すのがおすすめです ・正絹、シワ加工、レース加工、プリーツ加工、ビーズやスパンコール入りなどはクリーニングに出す方が無難です |
長襦袢 | ・ポリエステルやナイロン製なら自宅での洗濯も可能 |
着物クリーニングに出す前のお手入れ
着物は、使った後にメンテナンスをしておくと、クリーニングの回数を減らせたり、汚れが酷くなって追加料金が必要になったりするのを避けられます。
その方法を簡単に解説しましょう。
陰干し
着物汚れの最大の原因は、「湿気」です。日本は、梅雨がありますし、冬の寒い時期以外は、基本的に湿度が高い日が多いです。着用した際も汗で湿ってしまうことはよくあります。こうした湿気は、カビやシミの原因になるので、定期的に陰干しして飛ばす必要がありますよ。
方法は、和装ハンガーに掛け、風通しの良い場所(屋外なら軒下、屋内なら日の当たらないスペースで窓を開けて風に当てたり、扇風機を使ったりすると効果的)で、着用した後なら1〜2日、保管中の場合は、半日を目安に陰干しします。
汗抜き
着物を着用した後は、汗抜きをしてから陰干しするとさらに効果的です。
とくに夏場は着物を広げ、水で濡らして固く絞った綺麗なタオルを使って、襟元や脇、ウエスト周りを軽く叩きながら汗を吸い取るのがおすすめ。その後、乾いたタオルで水分を拭き取ったら陰干しします。
ホコリを落とす
陰干しした後は、そのまま収納するのではなく、必ずホコリを落としましょう。ホコリや花粉は汚れの原因になりますし、虫が付いていると虫食いの原因にもなりかねません。
その際は、エチケットブラシやシールタイプのコロコロではなく、着物専用のブラシが良いですよ。
馬や豚の柔らかい毛質で、和装専用のシルク向けのものを選んでください。
コツは、こすらずにゆっくりと上から下に向かって一方向に軽くブラッシングすることです。
シミ・カビの確認
陰干しやホコリを落とした後などに、必ずシミやカビが付着していないかを確認する癖をつけてください。
シミやカビは、長い時間放置すると取れにくくなるので、見つけ次第早めにクリーニングに出すことをおすすめします。
着物クリーニングはこんなこともできる!
多くの着物クリーニングでは、洗濯だけでなく、それ以外にさまざまなサービスを提供しているのでご紹介しましょう。
カビ処理
カビ臭やカビによる汚れや変色を取り除くサービスです。
よほど酷くなければ、仕立てたままの状態で専用の溶剤などを使って職人さんが手作業で除去してくれます。価格は、10,000〜25,000円前後が相場です。
これで無理な場合は、洗い張りで着物を反物の状態にして除去するケースもあります。
黄変抜き
着物についた汚れは、時間が経ち過ぎると黄色や茶色に変色してしまいます。
これを落とすのが、黄変抜きで、漂白剤で漂白し、元の色に戻します。それでも難しい場合は、元の色に近づけるために色付けや色補正を施します。1箇所につき数百円〜数千円が相場です。
撥水加工
ガード加工とも呼ばれ、着物にフッ素樹脂などを浸透させて、雨や飲み物などの水分を弾きやすくします。油や熱い液体は弾けないこともありますが、撥水加工によってずい分と汚れを防止することができますよ。
着物の種類にもよりますが、数千円〜13,000円前後が相場です。
サイズ直し
着物を部分的にサイズ直ししてもらえるサービスです。身丈や身幅、裄、袖幅、袖丈、褄丈(つまたけ)、衿幅などの長さを調整できます。
染め直し
着物が色褪せた場合に、地色を変える染め直しをしてもらえます。シミや汚れを部分的に染めたり、シミ抜きしたりすることもあります。
地色を染め直す場合は、数万円〜10万円前後かかります。部分的な処理の場合は、数百円〜10,000円前後が相場です。
着物預かりサービス
着物を自宅で保管しようと思うと、意外とスペースが必要になります。そんな余裕はない、という方向けに着物預かりサービスを提供しているお店もありますよ。これなら必要な時だけ返してもらえばいいのでとても便利です。
虫干しなどのメンテナンスもお任せできるので安心です。
失敗しない着物クリーニング店の選び方
最後に失敗しない着物クリーニング店の選び方を紹介しましょう。
着物クリーニングといっても、職人のレベルや着物に関する知識、クリーニング方法はまちまちです。せっかく頼んだのに、出来上がってきたら縮んでいたという話もあります。
そのような失敗をしないために、以下の4点に注意してください。
- 実績豊富な着物クリーニング専門店である
- 依頼したい素材や種類に対応できるか
- 無料見積もりが可能
- 集荷・お届けサービスがあるか
実績豊富な着物クリーニング専門店である
着物クリーニングは、特別な技術が求められます。そのため、一般的なクリーニング店ではなく、着物専門のクリーニングを手がけているお店を探しましょう。
しかも実績と歴史のあるお店の方が、ベテランの職人さんの確かな技術で仕上げてくれるので安心ですよ。ネットの口コミやレビューをチェックするのもおすすめです。
依頼したい素材や種類に対応できるか
クリーニングを依頼する前に一度電話を入れて、着物の素材や種類などを伝え、問題なく対応できるかを確認するようにしましょう。
気になる汚れなどがあれば、具体的に説明して納得のいく答えがすぐに返ってくれば信頼できます。返事が曖昧で誠意が見られない場合は、やめておく方がよいでしょう。
無料見積もりが可能か
クリーニングが終わり、請求の段階になって思っていたより高かったということがないように、無料見積もりしてもらえるお店を選びましょう。
何にいくらかかるのか、もし汚れが取れない場合にはさらにどのような方法があり、追加料金はどれくらいかといった点をしっかり確かめておくと安心です。
集荷・お届けサービスがあるか
着物はかさばることが多いため、お店まで持参して取りに行くのは意外と負担です。そのため宅配サービスがあると便利ですよ。宅配の場合は、店舗クリーニングに比べて安いことが多いので、一石二鳥です。
まとめ
着物はクリーニングや日頃のお手入れを心がけるだけで、保存状態がまったく違ってきます。不慣れな方は、すこし面倒に思われるかもしれません。でも、放ったらかしにしてカビやシミが付いて取れなくなれば、せっかくの美しい着物が台無しです。
頻繁に着用するものならシーズン終了後にクリーニングを、あまり着ないものでも定期的に取り出してシミやカビがないか確認するようにしましょう。
ただ、そこまでするのは億劫という方には、着物レンタルがおすすめです。
e-きものレンタルでは、結婚式や入学式、お宮参りや七五三、各種パーティーやお茶会にピッタリの着物を多数取り揃えています。
愛知で創業50年以上の歴史を持ち、トレンドから根強い人気の定番まで幅広いラインナップをご用意しております。着物以外の帯や帯締め、バッグや草履といった小物もセットでお届けしますので、お着物初心者の方もご安心ください。
皆様のご利用を心よりお待ち申し上げております。